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中性脂肪に働くおさかな成分・EPA

いわしやさば、さんまなどに多く含まれる「EPA」には、中性脂肪を正常に保つはたらきがあることが知られています。また、これを利用した特定保健用食品(トクホ)も販売されています。ご存知でしたか?

 


 

もうすぐ健康診断の季節ですね。

私は今のところ特に問題はないのですが、父がメタボ気味で…「中性脂肪値が高くなってきた!」とあせり始めています。

 

まだ医師の診察を受けるほどではないんだね。でも早いうちに何とかしたいよね。

 

そうなんです。何か食べ物で、中性脂肪を下げることってできないんでしょうか。

 

さすがに食べ物には医薬品なみの効果は期待できないけど、食品由来の成分から作られている脂質異常症(高脂血症)治療薬があるんですよ。

その成分の名前は「EPA(エイコサペンタエン酸)」。いわゆる青魚の脂(あぶら)にたくさん含まれている成分です。

 

「青魚」といえば、いわしやさば、さんまあたりが代表格ですよね。

 

いわしの生姜煮、さばの味噌煮、さんまの塩焼き

焼くとじわっとアブラがあふれてきますが、あのアブラが健康にいいんですか?

 

では、その「魚油」を実際に摂取して中性脂肪に対する影響を調べた研究についてご紹介しましょう。

 

とはいっても、魚油をそのままごくごく飲むのは大変だからね…。

実験では、EPAを豊富に含む魚油を、豆乳ベースのドリンクに混ぜ込んで摂取してもらっています。

これがそのドリンクです。

 

EPA・DHA含有飲料(100mL)

油が入っているようには見えませんね。ヨーグルトドリンクみたい。

 

このドリンク1本100mL中にEPAが600mg、あとDHAも260mg入っています。魚油にはEPAとDHAの両方が含まれているからね。

これを、中性脂肪値が100~300mg/dLの男女成人ボランティアに、1日1本ずつ12週間にわたり飲み続けてもらいました。

 

「病気と診断されるほどではないけれども中性脂肪値がやや高め」の人たちに集まってもらったんですね。

 

そうです。

ちなみに日本動脈硬化学会が2007年に出した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、「空腹時中性脂肪値が150mg/dL以上」を動脈硬化発症の一因である「高トリグリセライド血症」の診断基準としています。

 

さて、12週間経過した結果を示したのがこのグラフです。

比較のために、EPA・DHAを含まない(その代わりにオリーブ油を入れた)ドリンクを飲んでもらったグループのデータと並べていますが、そちらのほうは12週間たっても血中中性脂肪の値に変化がないのに比べて、EPA・DHAの入ったドリンクを飲んだグループでは値が下がっています(図1)。

 

血清TG(中性脂肪)値の推移

 

EPA・DHA含有ドリンクを飲む前の中性脂肪値は平均170mg/dLでした。それが12週間後には134mg/dLにまで低下しています。

 

ずいぶん大幅に低下したんですね。

 

この低下量(約30mg/dL)は、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患の発症率を男性で3%、女性で10%低下させることに相当するとも言われています。

 

EPAの働きってすごいんですね。やっぱり魚は健康にいいということがわかりました!

 

でも、毎日600mg以上のEPAを摂ろうと思ったら、1日1回はいわしやさんまを食べないといけないのか…

私はお魚が好きだからいいんですけど、父は青魚がちょっと苦手みたいなんですよね。


そういう人は、食事からでは足りない分をサプリメントで補うといいかもしれないね。

この実験で用いられたEPA・DHA含有ドリンクも、実際に特定保健用食品(トクホ)として販売されています。

 

今日はいいことを教わりました。家に帰ったら父にも話してみます!

 

 

 

論文掲載

エイコサペンタエン酸含有飲料の血中脂質に及ぼす効果

中島秀司 (日本水産)、岸利弘 (日本水産)、寺野隆 (千葉市病院 内科)、秦葭哉 (常磐大 コミュニティー振興)、藤代成一 (国保 成東病院 薬剤部)、浜崎智仁 (富山医薬大 和漢薬研)、浜崎景 (富山医薬大 和漢薬研)、糸村美保 (富山医薬大 和漢薬研)
日本臨床栄養学会雑誌,24(3),195-202(2003)

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