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意外?おさかなにも抗酸化力

野菜や果物に多く含まれていると話題の「抗酸化物質」。実はおさかなにも、様々な種類の抗酸化物質が含まれているのです。

 


 海からサラダフレーク

 

 

 このかに風味かまぼこ、着色料にトマト由来の「リコピン」を使っている  

 んですって。リコピンって「抗酸化力」があるんですよね。

 

 

「活性酸素」という言葉を聞いたことはありますか?身体の中に取り込まれた酸素は体内で活性酸素に変わるのですが、過剰な活性酸素は細胞にダメージを与え、様々な病気の原因になるともいわれています。この余分な活性酸素を取り除く手段のひとつとして、「抗酸化力」の強い食品を摂ることがよい…と広く主張されていますね。

 

抗酸化力の強い食品には、どういったものがあるんでしょう?

 

一般的に、野菜や果物にはポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれていると言われています。アメリカでは「ORAC(オラック)」という指標で食品の抗酸化力を評価し、データベースも作られたりしているんですよ。

 

 

ORAC (Oxygen Radical Absorption Capacity):活性酸素吸収能力
食品などに含まれる抗酸化物質の能力を測る指標のひとつで、1990年代に米国農務省と国立老化研究所のグループによって開発されました。米国ではこのORAC値をパッケージに表示した食品やサプリメントが、数多く市販されています。日本国内でも、ORAC値を用いて、食品の抗酸化力を消費者に具体的に示していこうという取り組みが進められています。 

 

 

あれ?アメリカで公開されているデータベースには、肉類や魚介類のデータが載っていないようなんですけど…

肉や魚には抗酸化物質が含まれていないっていうことなんですか?

 

そんなことはありませんよ。ポリフェノール以外にも多種多様な抗酸化物質が存在し、野菜や果物に限らず様々な食品に幅広く含まれていると考えられています。

たとえば水産物には、次にあげるような抗酸化物質が含まれていることが知られています(表1)。

  

 

表1.水産物に含まれる代表的な抗酸化物質  

アスタキサンチン  

魚類の卵、マダイの皮、サケ・マス類の筋肉などに含まれる赤色の色素

フコキサンチン ワカメなどの褐藻類に含まれる色素
ヒスチジン 様々な魚類の筋肉に広く含まれているアミノ酸
アンセリン

マグロ、カツオなどといった大型回遊魚の筋肉に含まれるジペプチド

(アミノ酸が2つ結合した物質) 

ビタミンE サンマ、アジ、イワシ、ブリなど脂質の多い魚に特に多く含まれています

  

 

これはちょっと意外でした!やはり、このような成分がたくさん含まれている魚は抗酸化力が強いんでしょうか?

 

その可能性は高いですね。試しに、魚の抗酸化力をちょっと測ってみましょうか。

抗酸化力を測定する方法はいくつかの種類が知られていますが、今回は先ほど述べたように、アメリカの食品市場で広く取り上げられている代表的な「ORAC法」で測定してみましょう。

 

さて、測定した結果は下のグラフ(図1)のようになりました。 

 

図1.鮮魚可食部1gあたりのORAC総量

※野菜・果物のORAC値出典:J.Agric.Food.Chem Vol.52 No.12:4026–4037 (2004)

 

 

へえ…魚にも、緑黄色野菜や果物と同じ程度の抗酸化力があるんですね!

サケやマグロには、アンセリンが豊富に含まれているんですよね。ブリに多く含まれているのはヒスチジンとビタミンEあたりでしょうか。同じサケでも、シロザケに比べてアスタキサンチンをたくさん含んでいるベニザケのほうがORAC値が高いのが面白いですね。

 

ついでに、魚肉加工品についても調べてみようか。 

ここに瓶詰めのさけほぐしと魚肉ソーセージがあるので、それで測ってみましょう。

 

 

焼さけあらほぐし と おさかなのソーセージ

 

測定した結果は、下のグラフ(図2)のようになりました。

 

 

図2.魚肉加工品1gあたりのORAC総量

 ※野菜・果物のORAC値出典:J.Agric.Food.Chem Vol.52 No.12:4026-4037(2004)

 

 

やはり、サケを原料にして作ったさけほぐしは、比較的抗酸化力が高いようですね。魚肉ソーセージもピーマンやカボチャと同レベルの抗酸化力があるみたい。

「抗酸化力」って、野菜や果物にしかないものだとばかり思っていたので、魚やその加工品にもちゃんと抗酸化力があるのには驚きました。おさかなを見る目がちょっと変わりましたよ(笑)。

 

アメリカだけでなく日本国内でも、食品の表示に「抗酸化力」の指標を取り入れていこうという取り組みが始まっているからね。カロリーや塩分と同じように「抗酸化力」が食品を選ぶ際のひとつの基準になる日も近いかもしれませんよ。

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