大 中 小

海のすこやかサイエンス

  1. トップ
  2. 魚を食べて健康に
  3. 健康な骨のために ビタミンDたっぷりのおさかなを

健康な骨のために ビタミンDたっぷりのおさかなを

骨の健康に欠かせない栄養素・ビタミンD。体内でのビタミンD合成には日光浴が有効ですが、その一方で日焼けも気になるところ。丈夫な骨を作るために、ビタミンDを豊富に含む魚介類を積極的に食事に取り入れることがおすすめです。

 


 

 

日差しが強い季節になってきましたね。今年は私、美白を目指して紫外線対策はばっちりです!

 

日本じゅうで美白ブームなのか、このところ紫外線対策グッズがたくさん市販されていますね。ですが、その一方で、紫外線は健康にとって大事な役割を果たしていることも知っていますか?

 

昔、小学校で教わりましたよ。「丈夫な骨をつくるために日光浴しましょう」って。日光浴をして紫外線を浴びることで、骨に必要なビタミンDが作られるんでしょう?

 

そう。ビタミンDの供給源としては

 

① 食事から直接摂取

② 日光紫外線(UVB)によって皮膚で合成 

  

の2つが存在しています。日光浴は、②の経路のために有効だということですね。

人間の体内では皮膚の近くで、紫外線の作用により、7-デヒドロコレステロールという物質からビタミンDが合成されるのです。 

 

ビタミンDは、骨を形成するために必要なカルシウムやリン酸の吸収を促すとともに、骨の代謝を促進する働きをもつ大事な栄養素。  

閉経後の女性600名を対象に調査した研究では、血中ビタミンD濃度が低いほど大たい骨(太ももの骨)骨密度が低い人の割合が高くなる傾向がみられた、という結果も報告されています(*1) (図1)。

 

 

図1.閉経後女性の血中ビタミンD濃度と大たい骨低骨密度者の割合

 

この結果は、逆にいえば、血中ビタミンD濃度を高く保っていれば丈夫な骨を維持できるということですね。  

でも、紫外線は日焼けや皮膚がんの原因にもなるから、あまり浴びすぎたくないです。食事からだと十分な量は摂取できていないのでしょうか?

 

日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、18歳以上の男女のビタミンD目安量は、1日あたり5.5μgとされています。この「目安量」とは、簡単に言うと「欠乏症状が見られないレベルの摂取量」ということなのですが、健康な骨を維持するためにはもっと多くのビタミンD摂取が必要なのではないかとも言われるようになっています。

ちなみに米国では、ビタミンDの摂取基準は日本の2倍のレベルに設定されているんですよ。

 

下のグラフ(図2)が、日本人の各年代別のビタミンD摂取量ですね。こうして見てみると、男女ともに若い世代で摂取量が少ないような気がするのですが…。図2.日本人の1日あたり平均ビタミンD摂取量

 

 

ビタミンDを豊富に含むきのこ類、魚介類

 ビタミンDは、特に魚介類やきのこ類に豊富に含まれていることが知られています。 

食生活の変化も、若い人たちのビタミンDの摂取量が低下している一因かもしれませんね。 

 

 

 

 

中でも20代・30代の女性の摂取量が少ないようですね。

 

それも問題ですね。若い女性は日焼けを気にして紫外線を浴びる機会が少なくなる傾向があるので、体内でのビタミンD合成量も少なくなりがちです。

ところが、妊娠中の女性でビタミンDが欠乏すると、おなかの中にいる赤ちゃんもビタミンD欠乏に陥るリスクが高くなります。実際に、わが国の新生児にも潜在性のビタミンD欠乏症が多く見られるという研究結果も報告されています(*2)

  

50代以上は、比較的多く摂取できているようですが…。

 

とはいっても、年齢を重ねると皮膚でのビタミンD合成効率が低下するので、それを補うために食事からのビタミンD摂取を増やす必要があります。それに、骨粗しょう症を予防するためには、若い世代以上にビタミンDの摂取が必要であるとも言われています。

 

中高年世代でも、日中ずっと建物の中にいるオフィスワーカーだったりすると、それだけ紫外線を浴びる機会は少なくなるので、やはり体内でのビタミンDの合成量は低下するでしょうね。

 

うーん、どの年代の人も、もっと積極的にビタミンDをおぎなう必要がありそうですね。かといってあまり紫外線を浴びすぎるのもよくなさそうだから、考えられる解決策は、ビタミンDの豊富な食べ物を食べることぐらいしかないのでは?

 

そうなんです。国内ではビタミンD製剤がまだ存在しないので、薬やサプリメントに頼らないで、食べ物から摂取しなければいけないということになります。

 

さっき、ビタミンDは魚介類やきのこ類にたくさん含まれているっておっしゃってましたよね。どういった食品をどれくらい食べればよいのでしょう?

 

わかりやすいように、ビタミンDをたくさん含む魚介類を一覧にしてみました(表1)。

魚介類以外の食品では、きくらげに多く含まれているようです。 

 

 

表1.ビタミンDを多く含む魚介類 ベスト20

 

いわし、にしん、さけ、かじきなどの魚なら、大体ひと皿分を食べれば十分な量のビタミンDが摂取できることになりますね。他にも、しらすやすじこ、イクラにも豊富に含まれているのですね。

 

 

ビタミンDを豊富に含む食材の例(さけ、イクラ、しらす)

 

毎日の食事の献立の中に、こういった魚介類を取り入れることで、骨の健康に欠かせないビタミンDを日常的に摂取していければよいですね。

 

 

 

 

参考文献

 

参考文献 : 第10回日本抗加齢医学会総会講演要旨集 p137 

出典(*1): Bone Vol.42; 271-277 (2008)

      (*2): The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism Vol.93, No.5: 1784-1788 (2008)


«前の記事へ 次の記事へ» カテゴリー:

このページの先頭へ