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おいしいまぐろは健康の宝庫

刺身、丼、鮨など、いろいろな食べ方で私たち日本人に広く親しまれている「まぐろ」。実はEPA・DHAをはじめとする様々な健康成分を含んでいる、体によい食べ物でもありました。

 


 

 

 

 

おすし盛り合わせ

 

この間、北海道に旅行に行ってきたときにお鮨を食べたんですけど、その中のトロが本当においしかったんですよ!とても脂が乗っていて、まさにとろけるようでした・・・。

 

 

それはよかったね。おいしい思いをしただけではなくて、体にいい栄養素も摂ることができたことだしね。

 

? それってどういうことでしょう?


まぐろの「トロ」の脂には、健康のために欠かすことのできない「必須脂肪酸」である、DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれているんです。

 

EPAは、確か中性脂肪を正常に保つ働きがある栄養素でしたよね。

 

その他にも、心臓・血管といった循環器系の病気に対する発症リスクを低くしたり、生活習慣病を予防するといった効果も期待できる成分です。花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患にも効果がありそう。

DHAにも同じような効果が期待できますが、こちらは特に、脳や神経に対して効果的というのが特徴です。記憶力や学習力を改善・維持したり、視力の改善にも効果があるのではないかと言われています。

 

魚の油に含まれる成分って、本当にいろいろな効果があるんですね…!
ところで話は戻りますが、まぐろにはDHAやEPAがそんなに豊富に含まれているのですか?

例えば、このグラフは、天然くろまぐろ及び養殖くろまぐろの赤身・中トロ・大トロに含まれるDHAとEPAの量を調べた結果です(図1)。まぐろの栄養成分は、獲れた時期や場所によって大きく変わるので、あくまでも一例ではありますが、特に中トロ・大トロの部分にDHAやEPAが豊富に含まれているのがわかりますね。

 

図1.まぐろ魚肉100g中のDHA・EPA含量

 

「2010年版 日本人の食事摂取基準」で、日本人の成人ではDHA・EPA合わせて1日1g以上の摂取が推奨されていることを振り返ってみると、この量がどれだけ豊富なのかわかるでしょう。
 

中トロを一切れ食べれば、その基準がクリアできてしまうわけですもんね。

 

ちなみに、普通は捨てられてられてしまう部分なのですが、まぐろの眼球は脂肪を多く含む組織で「裏打ち」されています。高速で泳ぎ回る魚なので、水圧から眼球を守るためのクッションになっているんだね。実はその部分は、中トロや大トロよりも豊富なDHA・EPAを含んでいるんですよ(図2)。

 

図2.養殖まぐろ魚肉100g中のDHA・EPA含量

 

こんなにDHAやEPAがたくさん入っているのに、捨ててしまうのはもったいないですね…。

 

この部分を集めて油を抽出し、健康食品やサプリメントの原料にすることもありますよ。健康によい成分がたくさん入っている貴重な部分だからね。

 

さて、赤身の部分にも栄養素が豊富に含まれていることが知られています。赤身は、最高時速150kmという高速で休みなく泳ぎ続けるまぐろの筋肉部分。その過酷な運動を支える筋肉として、筋肉形成や修復に有効な分岐鎖アミノ酸を多く含む良質のたんぱく質、さらに、タウリン、鉄分を豊富に含んでいるのです。

 

タウリンって、「肉体疲労時の~」っていうドリンクに入っている成分ですよね。


疲労回復といえば、「アンセリン」というペプチド(イミダゾールジペプチド)がとても豊富に含まれているのも、まぐろの赤身の特徴だね。この物質は、まぐろやかつおといった大型の回遊魚の赤身に多く含まれている栄養素で、これらの魚が休みなく泳ぎ続けられるのはこの物質のおかげなのではないか…ということで最近注目されているのですよ。

 

つまり、まぐろは、どこを食べても健康にいいおさかなというわけですね!

 

まぐろ赤身のお刺身

 

そういうことですね。

今晩はぜひ、DHA・EPAたっぷりの大トロ!

 

といきたいところですが…お財布が心もとないから、アンセリンたっぷりの赤身のお刺身で我慢しておこうかな…。

 

 

 

 


 

 

 

本稿に掲載したまぐろの脂肪酸分析データは、麻布大学 生命・環境科学部(神奈川県相模原市)守口徹教授との共同研究によるものです。
 

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