大 中 小

海のすこやかサイエンス

  1. トップ
  2. 魚を食べて健康に
  3. ママと赤ちゃんのためのDHA・EPA

ママと赤ちゃんのためのDHA・EPA

魚にふくまれる健康成分、「EPA(エイコサペンタエン酸)」「DHA(ドコサヘキサエン酸)」。妊娠中のお母さんやそのお腹の中の赤ちゃんの健康にとっても、欠かせない栄養素でした。

 


  

いとこに赤ちゃんができました!

春に産まれる予定なのですが、検診のときにお医者さんから「魚もしっかり食べてくださいね」と言われたそうです。妊婦さんの健康とっても、魚はよい食材なんですか?

 

それはおめでとうございます。おなかの赤ちゃんのためにも、健康によい食生活を心がけていただきたいものですね。特に青魚に豊富に含まれる魚油には、妊婦さんやおなかの赤ちゃんによい影響をもたらす成分が含まれているんですよ。

 

魚油に含まれる成分といえば・・・まずはEPA(エイコサペンタエン酸)ですよね。

 

血液の流れをスムーズにする作用をもつEPAには、妊娠中に生じやすい血栓を防ぐ働きがあると考えられます。あと、陣痛を引き起こす「プラスタグランジン」という物質のバランスを整える作用があるので、早産の予防にもつながると言われているのですよ。

 

あと、魚油にはDHA(ドコサヘキサエン酸)も含まれていますよね。これも妊婦さんや赤ちゃんにとってよい成分なんですか?

 

もちろん!妊娠中のお母さんがDHAを摂取すると、そのDHAは血液に取り込まれ、胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに移行すると考えられています。

 

DHAを1日200mg摂取した妊婦さんは、オレイン酸を1日400mg摂取した妊婦さんと比べて、妊娠15週目から妊娠28週目にかけて赤血球および血しょう中のDHA濃度が増加した、というデータ(*1)があります(図1、図2)。

 

図1.母親の赤血球中DHA濃度の推移

  

 

図2.母親の血しょう中DHA濃度の推移

 

出産時にDHA濃度が低下しているのは、お母さんの血液中のDHAが赤ちゃんに移行していることの証拠ですね。

 

産まれた赤ちゃんがDHAを持っていってしまったから、お母さんの血中DHA濃度が低下したというわけですね。

 

お母さんが積極的にDHAを摂取することで、お腹の赤ちゃんにも十分なDHAを供給してあげられるのです。

 

DHAは、赤ちゃんの脳の発達にとって、とても大事な栄養素。DHAを豊富に含むベビーフードを食べた乳児は、DHAを含まないベビーフードを食べた乳児に比べて視神経の反応が早くなったという報告(*2)や、妊娠18週から産後3ヶ月までお母さんにDHA1183mg、EPA803mgを含むサプリメントを摂取してもらったところ、そのお母さんの母乳を飲んで育った子どもが4歳になったときの知能の発達が良かったという報告(*3)もあります。

 

なるほど…EPAやDHAは、妊婦さんにも積極的に摂ってもらいたい栄養素なのだということがわかりました。ところで、これらの栄養素は、やはり不足しがちなものなんでしょうか?

 

残念ながら、十分摂れているとはいえないのが現状のようです。

次のグラフを見てください。これは、日本人女性の「n-3系脂肪酸」の摂取状況を示したグラフです(図3)。

 

 図3.日本人女性の年代別n‐3脂肪酸摂取量

 

n-3系脂肪酸は、植物油に多く含まれるα-リノレン酸と、魚油に含まれるDHA・EPAに大別できます。「日本人の食事摂取基準」では、妊娠中の女性はこのn-3系脂肪酸を1日に1.9g摂取することが推奨されています。

 

グラフを見ると、妊婦さん・授乳婦さんのn-3系脂肪酸の平均的な摂取量は約1.5g前後だから、推奨量には不足しているようですね。特にDHA・EPAの摂取量が目立って少ないみたい。

 

そうだね。しかも、成人男女はDHAとEPAを合わせて1日1g以上摂取することも、別途推奨されています。となると・・・

 

n-3系脂肪酸の足りない摂取量は、DHAやEPAで補うのがよいということですね。

 

厚生労働省によって作成された「妊産婦のための食事バランスガイド」によると、妊娠中期~後期、授乳期には主菜(肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質のおかず)の摂取量を「1SV」上乗せすることが推奨されています。わかりやすく言うと、魚料理ひと皿が2SVに相当するので、1SVはその半分程度かな。
 

その「プラス1SV」の分をEPAやDHAを豊富に含む魚料理から摂れば、n-3系脂肪酸の不足分も補えるわけですね。


もともと若い世代の人は魚の摂取量が不足しがちなので、お腹に赤ちゃんのいるお母さんは特に意識して、さばやいわしといったEPAやDHAをたくさん含む青魚を食べるように心がけるとよいでしょう。 青魚が苦手な人は、サプリメントやドリンクなどから適切に摂取するのもいいですね。

 

図4.青魚を使った料理メニュー

 

参考文献

1) Montgomery C. et al, Maternal docosahexaenoic acid supplementation and fetal accretion. British Journal of Nutrition vol. 90, No. 1; 135-145 (2003)

2) Hoffman D. R. et al, Maturation of Visual Acuity Is Accelerated in Breast-Fed Term Infants Fed Baby Food Containing DHA-Enriched Egg Yolk. Journal of Nutrition  Vol. 134, No. 9; 2307-2313 (2004)

3) Helland I. B. et al, Effect of Supplementing Pregnant and Lactating Mothers With n-3 Very-Long-Chain Fatty Acids on Children's IQ and Body Mass Index at 7 Years of Age. Pediatrics Vol.122, No.2;472-479 (2008)

«前の記事へ 次の記事へ» カテゴリー:

このページの先頭へ